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着工前準備
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● 概要 |
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新潟県は関東地方とは違い、3月に入ってもまだ寒く、天候不順で雨も多いため、地面が湿っていて地業工事がしにくいのが実情です。基礎工事は3月中旬以降でないと安心してできません。
そこで、基礎工事着工前に、工事で必要なツールや部品をあらかじめ作っておくことにします。
No. |
名称 |
説明 |
1 |
水盛り基準器 |
水盛りを効率的に行うための簡易ツールを作成する。 |
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水杭、水貫 |
水糸を張るための杭と板を角材と合板で作成する。 |
3 |
大矩(おおがね) |
基礎の直角度を確保するために辺の長さが1m以上の直角定規を作成する。 |
4 |
深さ確認メジャー |
根切り深さ、地業深さ確認用のメジャー(水平器取付可)を作成する。 |
5 |
生コン流し込みガイド |
一輪車で受けた生コンを基礎枠に流し込むためのガイドを作成する。 |
6 |
基礎の型枠 |
基礎のベースと立上りの型枠を(穴の中でも)組み立てやすい形に作成する。 |
7 |
基礎天端モルタル型枠 |
基礎天端にモルタルを塗り固めるためのガイドと抑え用のつかみ金物を作成する。 |
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1.水盛り基準器 |
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(1)高さ設定方式 (2012年1月11日)
プロが使うレーザー式の水平器は数万円もして買えないので、水平出しは水盛りで行いますが、物置小屋と側溝を作った際に非常に苦労した経験から、右図のような方式を考えてみました。
・書斎小屋の中央に基準杭を打ちます。
・基準杭に高さの基準位置およびその上下に目盛をつけます。
・基準杭のわきに水を入れたバケツを置き、基準杭に短いホースを固定して水位を目盛で読めるようにします。
・バケツと水杭をホースで結び、水位を見れるようにします。
・基準杭で水位を読み、基準高との差分を読みます。
・水杭の水位にこの差分を補正して水杭に印をつけます。
・上記作業をそれぞれの水杭に対して行います。
なお、基準杭の目盛と同じ目盛板を用意しておき、水杭の水位にこの目盛板を合わせるようにすれば、基準高の設定を容易に行うことができます。
この方法では、気温の変動、ホースの歪み、バケツの水量等に依存せず、それぞれの水杭に対して1回の作業で基準高を設定することができます。
私HNはメーカー勤務の時に特許を60件ほど出願したことがあるので、上記を利用した簡易ツールの特許出願をする価値があるかとネット検索してみたところ、すでに「電子水盛り管」という数千円で買える装置が販売されていました。これは上記原理と似ていますが、測定点のホースを下から上にあげていったときに基準高に達するとブザーが鳴るというものです。
私としては金をかけたくないので、自分で考えた方式でやります。
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(2)実際に作成した結果 (2012年4月19日)
右図は書斎小屋の敷地の中央に置いたバケツと基準杭です。
それらの中間に深さ確認メジャーが置いてあります。
バケツから出た2本のホースのうち1本は基準杭に固定され他方は洗濯ばさみで水杭に取り付けられるようになっています。
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目盛板は実際には左図のように簡略化しました。
つまり、細長い板を用意し、その上端をホースの水面に合わせ、深さ確認メジャーのGL(地面のレベル)の高さに「基準高」の印を付けただけのものです。
深さ確認メジャーのGLは、水糸に合わせるとメジャーの底辺が地面の高さになるということですので、水糸の高さ、すなわち、水貫の取り付け位置を示します。
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各水杭への基準高の設定は以下のように行います。
・高さ設定用のホースを右図のように水杭に取り付けます。
(ホースは洗濯バサミにひもでつないであります)
・ホースと水杭の間に目盛板を挟み込みます。
・目盛板の上端をホースの水面に合わせます。
・目盛板の「基準高」の高さを水杭に転記します。
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2.水杭・水貫 |
(1)仕様検討 (2012年1月12日)
これは特に問題があるわけではないのですが、
・水杭は太さと長さをどうするか? コスト面から既製品か角材で自作か?
・水貫はコンパネをカットして作りますが、強度的にどのくらいの幅が必要か?
などを決める必要があります。
これは春になってから現地で試行して確認します。
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(2)実際に作成した結果 (2012年4月19日)
豪雪で着工が遅れたこともあり、水杭は既製品の杭(杉 45x45x1000mm 1本105円)を使用しました。
水貫も当初コンパネをカットして作る予定でしたが、ホームセンターで聞いたら普通は貫板を使っているとのことなので、貫板(18x105x3000mm)をカットして使用しました。この木材はコストはコンパネよりだいぶ高いですが、水盛り・遣り方の終了後別の用途で使えるので無駄にはならないと思います。
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なお、水杭を打つ前に下穴をあけるための工具を購入しました(1350円、右図の赤い工具です)。 というのは、この敷地には母屋を解体処分した際に、コンクリート片や瓦の破片がかなり埋まっている可能性があるのです。解体業者がかなり雑な作業を行い、注意されるまで意図的に埋めていた節があるのです。 実際、北東部の杭は穴があけられなかったため、少し位置をかえざるを得ませんでした。
下穴をあけるというより、がれきがないことのチェックをすることが実際の購入目的でした。
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3.大矩(おおがね) |
(1)作成法および使用法 (2012年1月11日)
水糸を正確に直行させるために、大型の直角定規(大矩)を作ります。
・基礎ベース型枠用の板(12x150x1800o)3枚を用意します。
・2枚の中心に墨線を引き、端部で墨線が交差する点でビス止めします。
・このビス止めした交点から900oおよび1200oの位置に印をつけます。
・3枚目の板を片方の端をビス止め、他方をクランプで仮止めします。
・上記で印をつけた2点間の距離が1500oになるように仮止め位置を調整した後ビスで固定します。
・右図のように角材の柱を3ヶ所に付けて3角形の板の最上面が地面から450oになるようにします。
この大矩を水糸の交差する位置に置いて、水糸が直行する2本の墨線に一致するように調整したのち、水貫に固定します。この2辺を基準にして他の水糸を張ります。
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(2)実際に作成した結果 (2012年4月19日)
実際にはありあわせの板(1800o長)を使って作りました。
地縄張り用の杭を打つ際、対角線の長さで直角を確保していました。水糸は下げ振りで地縄杭に合わせていたため、大矩を使っての直角度の修正はほとんど必要ありませんでした。一応確認して安心できたといったところです。
左図において、大矩は3本の杭に載せ、水糸と1p位の距離にしています。
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4.深さ確認メジャー |
(1)設計図 (2012年1月11日)
基礎施工断面図において、深さを確認すべき位置は、水糸の高さ(=基礎立上り型枠上端より20o上)を基準として、根切り深さが820o、地業深さが750o、ベース上面が600o、地面が470oです。
これに対応するように逆T字型のメジャーを2x4材で作ります。それぞれの深さがわかるように柱部分に印をつけておきます。
また地業では水平を確認するために水平器を固定できるようにします。
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(2)実際に作成した結果 (2012年4月18日)
ありあわせの1x4材をカットして作成。水平器を挟んで置けるように小さな板を貼っています。
また、多少力がかかっても壊れないように筋交いを入れました。
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5.生コン流し込みガイド |
(1)ガイドの机上設計 (2012年1月11日)
生コンは生コン車からホースで流し込む方法をとるとかなり高くつくので、一輪車で受けとってそれを型枠まで運んで流し込む形態をとります。
コンクリートの流し込みは硬化が始まる前に短時間で行う必要があるので、素早く正確に流し込むためのガイドを用意します。特に立上りへの流し込みは高さがあるのと幅が狭いので工夫が必要です。
上図: 立上りの鉄筋があるので、ベース部への生コンガイドは前後に分かれた形のものを作ります。側板を型枠に引掛けて固定します。必要であれば、ガイドが開くのを防ぐためにガイドの上に、細い角材または鉄棒で押さえます(図のストッパ)。
下図: 立上りに生コンを流し込むには一輪車を地面より上げる必要があるので傾斜を持った台座を用意します。
立上り部への生コンガイドは立上り型枠に引掛ける形のものを作ります。必要であれば、後方に支えの柱をつけます。
この基本設計に基づき、現地で現物合わせと試行をして最終決定します。
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(2)実際に作成した結果 ベース用生コン受け (2012年5月8日)
現場を見た結果、机上設計案のような複雑なものは必要なく、地面と型枠の上端にコンパネで作った板を渡し、型枠の外側にストッパを設けるだけでよいことがわかりました。
この方が移動も楽ですし、生コン流し込みには必要十分でした。
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(3)実際に作成した結果 立上り用生コン受け (2012年5月16日)
立上り用の生コン受けは、できるだけ型枠に横方向の応力がかからないこと、ネコ(1輪車)を低い高さから流し込めるようガイド板の高さをできるだけ低くすることを心がけました。
これらを考慮して、左の写真のように、ガイド板と側板はベース型枠(幅15p)の余りを利用、側面の幅と傾斜は1x4材を斜めにカットして構成しました。
これを立上り型枠の上端にはめ込むことで固定できるようにしました。
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生コンの運搬はネコで行いますが、型枠の周辺のスペースが狭いため、机上設計のような直線的な傾斜を作るのは無理でした。 そこで、左写真のように既存の台(高さ20p位)に1x4材をビス止めし、これを中継点として生コンガイドまでの通路110p、中継台までの通路180pを載せる構成にしました。 中継台から生コンガイドまでの通路は1x4材を3本並べ、先端が地上から30p程の高さのゆるい傾斜にし、ストッパを付けました。先端に付けた足が基礎ベース上に載ることで人が載っても安定します。 中継台までの坂道は地業した後にできる島の間を渡すために作ってあった橋をそのまま利用しました。 この3点構成により、生コンを流し込む場所に応じてフレキシブルに構成を変えることができました。
このようにありあわせのものをとっさに判断して作ることはDIYの醍醐味でもあります。
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6.基礎の型枠 |
(1)型枠の試作結果と懸念事項 (2012年1月12日)
私HNにとって書斎小屋建築の行程の中で、基礎を作るのが最大の難関と認識しています。特にコンクリートを流し込んで品質と精度を確保できるかが心配です。型枠つくりはその第一歩といえます。
そこで、建築を延期した2011年の秋(2011年9月22日)にユニット鉄筋(3640oの長さ)を1本買ってきてコンパネでベース部の型枠を作ってみました。右は、鉄筋を手動式の油圧鉄筋カッター(オークションで購入)で半分の長さに切断したものを書斎小屋の角部のベースとして試しに組み立ててみたところです。
ベース型枠はコンパネを150o幅に切断した板2枚を、500o枠幅用の丸セパで結合したものです。丸セパを300o間隔で取り付けますが、一つおきに高さ位置をかえています。上の丸セパは型枠の中間の高さに付けてあり、その上に鉄筋を置きます。立上り型枠は置いてあるだけです。
これにより、鉄筋カッターの切断性能と、丸セパで固定した枠の強度は問題ないことが確認できましたが、未確認で懸念される点としては以下があげられます。
・ 地業をした穴の中でベース型枠間を結合する方法
(小さな合板を用意し、型枠内側からビス止めすることを考えています。)
・ 型枠を地面に固定する方法。(周りに杭を打って止めるしかない?)
・立上り型枠はプロの施工では単管をセパレータに固定して歪みを防いでいますが、そのために単管を買うのは無駄なので、角材で補強するつもりです。しかし、立上りの高さが60pあるので、十分な強度を保てるかが心配です。
まあ、実際に現場でやってみるしかないと思っています。いずれにしろ、型枠と固定用の角材などは着工前に準備する予定です。
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(2)実際に作成した結果 (2012年4月21日)
地業を行う前に、ベース型枠を作り、地面に配置してみました。
各型枠は丸セパで結合されているだけで、それぞれを地面に置いてあるだけです。
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型枠の結合のための角材を片方の型枠にビス止めしました。 地業終了後、この型枠を再配置して結合します。 角(かど)部の結合用角材は型枠を外す時のことを考慮して取り付けています。(ビスを外したら板を内側に引き込めるように) ただし、元大工さんから「ベース型枠は外さないでそのまま埋め込んでもよい」という話を聞きましたので、この型枠つくりの大変さを実感して「そうしようかな」という気持ちが強まっています。(その後シロアリの話を聞き、外すことにします。) というのは、組み立ても大変でしたが、丸セパ76個x2(両端)を外すのも一仕事です。組み立ては6角ナットを専用レンチで手で絞めつけましたが、これを穴に埋まった状況で外すのは相当な重労働です。
立上り型枠では丸セパの数が2倍になるので、取り付け取り外し用に振動ドライバに付けるレンチアタッチメント(1300円程度)を購入する必要がありそうです。
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7.基礎天端モルタル型枠 |
(1)天端均しの方法 (2012年1月12日)
プロの施工では天端均しはセルフレべリング材という流動性の高いセメントを流し込み、液面が水平になるのを利用して行うようですが、これは型枠が金属製で漏れがないからこそできる方法です。書斎小屋ではモルタルを手で塗りかぶせる方法をとります。
このモルタルをかぶせるための枠として立上りの上部を2枚の板で挟む形で作ります。その手順は以下の通りです。
・まず立上りコンクリートの側面に水平の墨出しを行います。
(墨線の位置は、この後の作業の結果、2枚の枠板の上端が立上りコンクリートの天端になるようにします。)
・細長い板(1800x60x12o)を墨線に沿ってクランプ(はさみ金物)で挟んで固定します。(クランプは大きなくちばし様の鉄筋製のばねです)
・この板の上に同じ細長い板を載せてクランプで固定します。
・反対側にも同じ板を挟み、水平器で水平に調整します。
・この2枚の板の間にモルタルを流し込み、コテで天端を均します。
・上記操作を繰り返し行い、全体の天端均しをします。
モルタルの付着を良くするために、立上りの上面は事前に水でぬらすこと、施行後は直射日光に当てないで養生することに留意します。
右の写真はカットした鉄筋用の鉄棒でクランプを作っているところです。鉄棒を曲げるための工具はホームセンターで購入したものです。かなり力がかかるので、古い柱に付けた固定金具を屋敷にあった石に挟んで手前に引いて曲げます。
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